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要旨:

IBM Theater

IBMアカデミー・オブ・テクノロジーは、長い間新たなテクノロジー研究と探索に最前線で取り組んできました。2008年後半にVirtual Worlds Conferenceを開催、その後セキュリティ面で安全な保護された環境でのSecond Life内で、定期的に会議を行っています。コンファレンス・スペースはIBMの為に特別にデザインされたもので、Keynote、同時進行セッション、シミュレートされたグリーン・データ・センター、図書館、そしてコミュニティーが集うさまざまな施設があります。200人以上もの参加者はSecond Lifeの基礎を学ぶために事前にコンファレンス・トレーニングを受け、この環境でスムーズにコミュニケーションがとれ操作を行えるよう準備を整えました。IBMは仮想世界コンファレンスへの大まかな投資収益を32万ドルと見積もり、定期総会を現実世界で行った場合と比べ5分の1のコストに抑えることに成功しました。これにより多くのIBMスタッフは仮想世界の支持者となり、その後多くの内部コンファレンスやイベントをこの空間で行うという道を切り開いていくことになりました。

仮想世界がIBMアカデミー・オブ・テクノロジーの好奇心を駆り立てる

全世界のIBMに20万人いる技術系プロフェッショナルのリーダーから330人が選出されたグループから成り立つのが名門IBMアカデミー・オブ・テクノロジー(以下IBMアカデミー)です。メンバーはIBM経営陣に対して技術開発と方向付けに関する提言を行いIBMテクノロジー・ベースを改善、さらにIBM全体のテクニカルコミュニティーで、国境・組織を越えたコミュニケーションを推進して連携を強め、IBMに技術的リーダーシップを提供する役割を果たしています。

IBMアカデミーは常に新たなテクノロジーに関心を持っており、これまでも仮想世界に注目してきました。既に2007年後期までには仮想世界はゲーム環境やソーシャル・ネットワーキング・ツール以上のものである、と複数のメンバーによって認識されていました。仮想環境にはビジネスのあり方をグローバルに変えてしまう可能性があり、もっと深く探ってみる価値があるのではないかと考えるようになったのです。

IBM Group Meeting

実際にIBMアカデミーのメンバーかつIBM Distinguished EngineerでもあるNeil Katz氏は、IBMアカデミーのコンファレンス全てを仮想世界で行ってはどうかと勧めました。この考えに深く共感したIBMアカデミー名誉副会長Irving Wladawsky-Berger氏には、さらに素晴らしいアイディアがありました。「仮想世界をテーマにしたコンファレンスを仮想世界で開いてみないか」というものです。コンファレンスでのKatz氏の共同議長でTechnical Advisor Project OfficeのディレクターでもあるLarry O’Connell氏は、うってつけのアイディアだ、とこれに同意しました。こうして数ヶ月後、Virtual Worlds Conferenceが承認され、Linden Labの保護されたSecond Life上で2008年10月に開催されることになりました。

IBM、仮想世界で行う初のコンファレンス準備

早いうちにNeil Katz氏は全世界のIBMから人材を集め、このVirtual Worlds Conferenceのプラニング、スケジュール、そしてデザインを行うコアとなるチームを作りました。IBMデジタル融合新規事業創出のグローバル・アーキテクトでありSecond Lifeのベテラン住人Craig Becker氏は、このチームに自ら加わりプロジェクトのチーフ・アーキテクト兼デザイン・リーダーとなりました。氏は数ヶ月に渡りLinden Labと密接に連絡を取り合い、IBMのコーポレート・ファイアウォールで保護されたSecond Life内に16のリージョンを創り上げました。さらに、コンファレンス参加者がIBM内とSecond Lifeの公共の島とを保護され且つ互換性を持ってアクセスすることが可能なロケーションを構築しました。氏はボランティア・デザイナーとビルダーと共に、リセプション・プラザ、ピクニック・エリア、三つのシアター、複数の庭、サポート・ライブラリ、グリーン・データ・センター、コミュニティーの集いの場、コンファレンス施設を光り輝く植物の生えた広大な砂漠の景観のなかに構築していきました。

Becker氏とチームがこの空間を賢明に創り上げているあいだ、マーケティング・エグゼクティブでコンフェレンスのコアチームメンバーKaren Keeter氏は、約6,100人のIBM社員から成る社内コミュニティーVirtual Universe Community(以下VUC)のなかからまた別のボランティアグループを作り、Second Lifeでのイベント運営、新たなSecond Lifeユーザーへトレーニングを任せました。トレーニング・セッションにはSecond Lifeの登録方法、ボイスチャットの使用方法、ビューワーの使い方、仮想環境での操作の仕方、といった初歩的なヒントが含まれていました。イベント開催前にコンファレンス空間とアバターに慣れてもらうのが目的でした。

IBMアカデミー、Second LifeでVirtual World Conference開催

2008年10月21日、ついにその日が訪れました。センターは完成し、ボランティアは配置済み、そしてプレゼンターと参加者の準備も万端となりました。3日間に渡るIBMアカデミーによるVirtual World Conferenceには、世界中から200名以上のメンバーが参加し、3つのKeynotes、37の同時セッションが行われました。セッションはバーチャル・ワールド・アーキテクトでありIBMシニア・テクニカル・スタッフ・メンバー、そしてIBMアカデミーメンバーでもあるBoas Betzler氏率いるIBMアカデミーメンバーによって提言された65のなかから選択されました。IBM VUCのグリーターは、出席者が到着すると同時に目的のセッションを容易に探し出すことができるように、コンファレンス・コンシェルジュとして対応しました。リセプション・プラザにはキオスクが設置され、参加者が興味のあるセッションをクリックし直接会場にテレポートができるようになっていました。

多くのセッションはよくある平均的なコンファレンス・プレゼンテーションとは違ったものでした。空間が目的別に作られているため、仮想世界がもたらす利点をフルに活用しながらプレゼンターがよりクリエイティブに、そして相互にアプローチができるようになっていました。たとえば庭に設置されたビューアーには、歩きながら見て回ることのできるスライド・プレゼンテーションが映し出されていました。3次元モデルサーバーを使用し、より細かくマシンの修復方法を参加者にデモンストレートするプレゼンターもいました。さらにIBMのグリーン・テクノロジーが体感できる仮想グリーン・データ・センターは大ヒットとなりました。

仮想世界での大きなサクセス

IBMアカデミーと全てのボランティアは、Virtual World Conferenceは完全に成功し期待以上の成果が得られた、としました。出席者はこのコンファレンスを絶賛し、その体験を隅々まで楽しみました。初期投資には8万ドルが費やされ、IBMは、出張費と会場経費に25万ドル削減、15万ドル以上の生産性向上に繋がったとしました。(参加者は元々コンピューター前に座っていたため、すぐに仕事に戻れたため)実際の世界で行われた際の予想経費と比較し、合計で32万ドルが削減されたことになります。

素晴らしい成果を出した投資収益率ですが、更に顕著な成果は人々がこの空間を活用してネットワーキングと社交を展開したことでした。人々が分散的にテーマについて発言し続けるため、コンファレンス・セッションは時として長時間に渡り行われることがありました。毎日最後には参加者はさまざまな場所に集まっていました。人気スポットはピクニックエリアで、バーチャル・カクテルを片手に人々がおしゃべりを楽しむ姿が見られました。「コンファレンスが終わってから彫刻ガーデンに集まり、

Distinguished Engineerたちがコンファレンス内容や、テクノロジーが今後進化していく道についてオープンに話す会話に耳を傾けることができたのが何とも表現しがたい素晴らしい体験でした。そこで他の人々を目にし、空間を共有するという体験は、大規模コンファレンス・コールにダイアルするのとはまた違った、新しいコミュニケーションの形でイベントに出席している、という感覚をもたらしてくれました。」

出席者が仮想世界を実際に探検しその可能性に気づいたばかりか、IBMもまた、大幅なコスト削減成果と、物理的な世界のコンファレンスで時折感じる社交とネットワーキングの緩やかな利点全てをフルに発揮したことを実感しました。

今度の年次総会をキャンセル? Second Lifeが救う

IBM Group Meeting

Virtual World Conference出席者の一人に、IBM アカデミーのプレジデントJoanne Martin氏がいました。氏のミッションは「さらにアクティブ且つ自主的に活動できるようIBMアカデミーを変換」させることで、これは翌月フロリダで行われるIBMアカデミーの年次総会においての重要議題でもありました。しかしVirtual World Conferenceに参加したすぐあとだったため、氏とリーダーシップ・チームは、大規模会議を現実世界で物理的に開く必要性はないと判断しました。そうしてもう2週間後に迫っていた会議をキャンセルしてしまいました。そこで代わりにIBMアカデミーの年次総会をシミュレートする環境を作らねばならなくなりました。

10月に開催されたVirtual World Conference以前にはSecond Lifeに一度も触れたことのなかった氏でしたが、大変感銘を受けたため今回は年次総会の一部をSecond Life内で開催することになりました。この3日間かけて行われるイベントは前回と比べると大規模なもので、議題は以下のように多岐に渡っていました:

  • IBM Technical Agendaブレーンストーミング・セッション
  • エグゼクティブ・セッション
  • 参加者同士でリサーチの結果を共有しながら行う「口頭」プレゼンテーション
  • テーマごとに集まって議論する「Birds-of-a-featherセッション」
  • IBMアカデミーメンバーが参加者に研究内容を掲示し話し合う「ポスター・セッション」

議論が複雑な一部のイベントはウェブキャストやビデオ・コンファレンスを用いて行われ、120のポスター・セッションはSecond Life内で行うことになりました。幸いだったのはVirtual World Conferenceで使用された空間の多くを再利用できたことでした。前回のVirtual World Conferenceに参加しなかったIBMアカデミーメンバーを今回もボランティアがサポートし、イベント中コンシェルジュとしての役割を果たしました。

Second Life、年次総会の生命線となる

他のテクノロジーを利用しつつも、Second Lifeは出席者が継続的に集う場となりました。参加者はIBMアカデミーのリセプション・エリアに集まり、ポスター・セッションがない時でもネットワーキングを行っていました。Karen Keeter氏は、「コンファレンス・スペースを訪れるたびに、どの時間帯でも、プラザには最低でも10人から12人くらい人が集まっていた。」と語る。このような人々の自然発生的な集いを見たMartin氏とKeeter氏両者は共に、ネットワーキング・ブレークやカクテル・アワーといった社交時間を伝統的なコンファレンスのスケジュールに公式に組み込むべきである、という見解で合意しました。はじめの2日間のコンファレンス中に自然発生的に展開されたソーシャル・ネットワーキング・アクティビティを元にし、実際に最終日の2時間をビーチに設置されたピクニックテーブルを囲んだネットワーキング・イベントとし、スケジュールに組み込みました。バーチャル・ビールを飲みながら歓談するIBMアカデミーメンバーもいれば、バーチャル・ハングライダーやジェット・スキーレッスンを受ける者もいました。こうしてこの驚くべきコンファレンスはパーフェクトなフィナーレを迎えました。

コスト削減大成功

このようなソフトな面が重要なのは確かですが、投資収益率は更に大いに物語っています。Martin氏によると、「Second Lifeは我々のコラボレーションのほとんど全てを結びつけ社会的交流、技術的共有を形成する機会を与えてくれました。さらにこれを時差ボケ一つなしに5分の1のコストで行ったのです。」

コンファレンス主催者と参加者、仮想イベントをリアルと実感

Joanne Martin氏は仮想会議の正当性について、全ては人と人が関わり合うこと、ネットワーキングである、と述べています。それはIBMアカデミーのプレジデントとしての彼女のミッションであり、Second Lifeで彼女のビジョンが現実となったのです。「素晴らしかった!」「ビックリしました。私があのバーチャルな存在の一つだという感覚に、とても驚きました。このテクノロジーへの可能性が広がりました。」彼女はこう続けました。「Second Lifeに入っていくと、自分は確かにそこにいる、とどこかで感じる、非常に奇妙ではあるが逆らいがたい心理的効果がありました。歩き回り、人々に話しかける自分自身をこの目で見ている、同僚が近づいてきて私に話しかける。そこには予期せぬ出会いがありました。」実際空間がとてもリアルだったためか、イベントの数日後にはIBMアカデミーメンバーからMartin氏宛に電話があり、一日の終わりにハンモックでリラックスしたいから会議スペースを使ってもいいかと聞いてきたほどでした。

Becker氏もまた、Martin氏の言う仮想世界での「存在」を認識し、こう語っています。「仮想会議が終わった翌朝起きると、ウェブキャストや電話会議のことを思い出すのとは違った形でごく自然にみんなが昨日の出来事を思い出しました。実際に他の人たちと会って有益な情報を自宅に持ち帰る、という現実世界での会議に参加したかのように感じたのです。」

しかしKatz氏はIBMアカデミーメンバーにSecond Life懐疑論者が出てきたことも認めました。「この仮想世界テクノロジーが成功するのかどうかを疑問視する」という同僚との会話内容を話してくれました。氏が「今話してるこの会話はSecond Life内で行われているじゃない。」とこたえると、同僚は一瞬黙ったあと「確かにその通りだ。もう2時間もここにいるよ。」と言いました。「ほらね、確かにうまくいっているんだ。私たちは頑固な懐疑主義者を批判者に、やや懐疑的な者を信者に変えてしまった。」

IBM、仮想世界の輝かしい未来に期待

Virtual World Conferenceと年次総会をSecond Life内で開催後、IBMアカデミーは将来仮想世界がビジネス、IBM、IBMクライアントに強いインパクトを与えていく、との見解を示しました。仮想世界を学ぶ最良の方法とは実際にそれを使ってみること、それがIBMが現在進行形で取り組んでいることです。

IBM Group Meeting